No.の意味は?証言の5W1Hを探ると、衝撃の予想が浮かび上がる
概要
映画 #オッドタクシー イン・ザ・ウッズ
— アニメ「オッドタクシー」OFFICIAL (@oddtaxi_) 2022年3月16日
入場者特典決定🚕💥
特典は
“未公開証言入り木下麦監督描き下ろしステッカー”
ステッカー下の“証言”は
脚本・此元和津也書き下ろしのランダム3種✍
配布は4/1(金)〜7(木)までです!
※先ほどの画像に誤りがあり再掲しました。
訂正してお詫び申し上げます。 pic.twitter.com/9wInEecK3y
「映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ」の入場者特典として、木下麦監督描きおろしの未公開証言入りステッカーが配布された。
シールをめくると、それぞれの証言者たちの未公開証言を見ることができる。
この証言は映画に登場する、とある民間の探偵事務所の探偵が集めたものだ。
未公開証言を見ていくと、一人だけ他の証言者とは違う証言があることを発見した。
証言をさらに検証していくと、今まで謎だった和田垣の行動について衝撃的な推理をすることができた。
本記事では、No.の意味を探り、16人(+1人)の未公開証言の内容を振り返るとともに、証言から分かったことをまとめていく。
「映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ」のネタバレを含みます。ご注意ください。
No.の意味
未公開証言にはそれぞれ、名前の前にNo.がつけられている。
余談です。
大門兄弟の「朗」は、オフィシャルブックでは「郎」ですが、オッドタクシー本編(12話:警察手帳)と、こちらの未公開証言で「朗」なので、当サイトでは今後「朗」を採用します。
これは恐らく、インタビューした順番だ。
根拠は映画の中の証言にある。
映画をご覧になった方は分かると思うが、証言者たちはアポを取った順番に話していくわけではなく、事件を振り返りながら、入れ替わり立ち代わり当時の心情を語っていく。
中には、インタビューの順番を示唆する証言をすることもあるのだ。
具体例を挙げていこう。
予想される順番とNo.が矛盾していないのがお分かりいただけると思う。
証言か?盗聴か?
ここからは具体的に未公開証言の5W1Hを明らかにしつつ、その内容について考察していく。
柴垣の場合のように、インタビューの時の証言で、映画ではカットされている部分、まさに「未公開」の証言の場合もあれば、山本やヤノたちのように「これ盗聴じゃ?」と思われる証言もある。
No.1 樺沢太一
玲奈は、アニメ本編では樺沢信者として登場する。
「ドブに脅されている」という設定で樺沢に近づいたようだ。
「・・分かったよ。先に俺が、サロン会員から手に入れた情報教える」
この未公開証言を見る限りでは、玲奈がオンラインサロンに入会して樺沢に近づいたのは、樺沢に心酔していたわけではなく、ドブの情報を得るためだったようだ。
「ドブに弱みを握られて恐喝された被害者から聞いたんだけど、ドブは大事なものを地面に埋めるらしい」
ドブは自分の拳銃も埋めてますしね。
残りの証言はほとんど樺沢の自分語りだ。
「国民の模範となるべき俺が、こんなことじゃだめだよね。しっかりしなきゃ」
「いろいろあるじゃん。そのぉ、尊敬っつっても、あのー教師的なやつから・・・親とか、そういったたぐいの・・・」
樺沢の証言からは、正義感の裏側にある「誰かに尊敬されたい」「認められたい」という思いが見え隠れする。
「正直言うとね、もう疲れてきてるんだ。どこへ行っても、ドブの話ばっかり。だからたまには、ドブとか関係なく、樺沢太一本人と向き合ってくれる人に甘えたくて・・・」
「世間の人が思う樺沢太一のイメージって、やっぱり偶像なんだよね。俺はドブではなく、そのイメージと戦ってきたんだと思う」
「本当の樺沢太一と、世間の人が思う樺沢太一のズレが、俺をどんどん孤独にしたんだよね」
承認欲求を満たしたいという思いとは裏腹に、世間のイメージと本来の自分のズレが大きくなり、孤独になっていったようだ。
玲奈に甘えるような発言もしている。
ドブを捕まえる動画をあげてから、樺沢は最初こそ神として崇められていたが、小戸川が明政大学に行った時、学生の一人は樺沢のことをこう評している。
大学生「学校名出してイキってたけど、本当はビビッてるんだよ。ネットでは神扱いだけど、俺らの間じゃ承認欲求の強いチキンで有名さ」
徐々に樺沢のメッキは剥がれ、樺沢アンチが増えていた。
そんな時に、小戸川が匿名でドブの情報を送ったため、樺沢は飛びついたのだろう。
DMの情報どおりに芝浦埠頭に向かった樺沢が見たものは、大腿骨に被弾してうずくまるドブだった。
「ドブさらい完了!」
「やっぱりね、最後に正義は勝つんですよ!」
「この結末にたどり着いた時、正直鳥肌が立ちました。神に愛された男が存在するんだなって」
「お前らうまくいってるやつが転落するサマが大好きだろ?俺もだよ!俺がこの身をていしてお前らの溜飲を下げてやる」
結局この後ドブにやられて、転落するのは樺沢本人になるのだが・・。
ある意味、樺沢は皆のヒーローになれたのかもしれない。
No.2 柿花英二
柿花の調査メモには、柿花と市村のデート?に居合わせた時のことが書かれている。
市村しほの”パパ活”を恋愛と勘違いしている残念なオジサン。
レストランでの振る舞いは見るに堪えないほどイタすぎ・・・。
柿花「あのーすいません、あの、おかわり!」
「フフッ」
「ちょっと~・・笑っちゃ悪いよ」
玲奈と花音は市村との会話から、「10億円を当てた男」の情報をゲットしたようだ。
この男こそ、同じバイト先の知り合いであり、インタビュー時には行方不明になっている今井のことである。
柿花の証言内容もなかなか興味深い。
「職場に来られるのは困るんですけど・・・」
「ああ、君も仕事探してるんだ。若いのに」
「君も」という表現から、柿花自身も求職中であることが分かる。
*ここでいう「君」は佐藤のこと。
芝浦埠頭に監禁された後、柿花は小戸川に救出されている。
その後は、借金を返すためにバイトを掛け持ちしているのだ。
「職場」にいるにも関わらず、「君も仕事を探してるんだ」と言ったのは、より割のいいバイトを掛け持ちしようとしていたからかもしれない。
「体?なんで知ってんの?まあ悪そうか」
「腰が悪くてね。それに、最近、刺されちゃったし」
刺されたというが、柿花が本編中に刺された描写はない。
柿花を刺す人間といえば3パターンいる。
- 借金取り
- ヤノ
- 和田垣さくら
借金取りの強引な取り立てにあっていたパターン、監禁中に刺されたパターン、そして小戸川を助けるために和田垣を止めに入った時のパターンである。
私は3のパターンを推したいですけど、オッドタクシー事件以降は調査を区切りをつけているはずですから、時期的に合わないですかね・・。
皆さんはどう思いますか?
No.3 白川美保
白川の証言は謎が多いが、一つずつ見ていこう。
「ちょっと、あんたのせいで私帰れなくなったじゃん」
「なんで私の職業知ってんの?ストーカー?」
こちらは佐藤と白川が初めて会った時の会話である。
佐藤は探偵見習いであるせいか、玲奈と比べて調査力がやや低め。
白川を尾行していたはいいが見つかり、白川が看護師ということもポロっと漏らしてせいで揉めているようだ。
この後、佐藤は白川からケイシャーダを食らっていますw
「私弱いから、強くならなきゃと思って」
「ドブさんに出会って、彼の強さに惹かれて、彼の弱さも知って、利用されたりもしたけど、助けてもらったこともあって」
「それでも何とか変わりたいと思って」
「真っすぐ生きてる小戸川さんに出会って、変われそうな気もしたんだ」
これは小戸川と出会ってしばらくした時の会話だろう。
はじめはドブに言われて小戸川に近づいた白川が少しずつ変わろうとしているのが分かる。
「なんか都会に住んでるとさ、こういうだだっ広くて誰もいない場所って、なんか落ち着くんだよね。私、ちっちゃう頃から海に潜って遊んだり、山で走り回ったりもしてきたからさ」
「大事なものって、何度も掘り返したいものと、永遠に埋めておきたいものがあると思うの」
「ボスが仕切っているということは、ドブさんの敵対するヤノさんも知ってるってことだし」
「死体とか」
「だだっ広くて誰もいない場所」で話しているのが分かる。
その後死体の話が出ていることから、この場所は「例の工事現場」である可能性が高い。
「例の工事現場」とは、組織で共有している土地のことである。(関口の証言より)
*この土地にはビルが建つ予定らしい。業者全てに黒田の息がかかっている。
10話で小戸川は山本に工事現場に誘導され、殺されかける。
その時に何故か白川が現れ、小戸川のピンチを救うのである。
「何故白川はこの工事現場にいたのか?」というのは当サイトでも何度か取り上げてきたが、この証言内容から、「ドブからこの工事現場のことを聞いており、落ち着きたい時に来ていた」という可能性が高そうだ。
ノベライズ版では、ドブに言われて小戸川のタクシーにGPSを仕込んだことになっている。
No.4 大門堅志朗
「なんで警察ってわかったんだ?」
「なら話は早いな」
「これ撮ったのお前だよな」
「警察に言ったか?言ってないだろ。なんでこんな訳わかんねえヤツが動画持ってんだよ」
大門兄が玲奈に絡んでいるようだ。
この動画に関してだが、一つ推測できることがある。
樺沢「何より嬉しいのがですね。この動画、マスコミに高く売れそうなのに、樺沢太一に送ってきてくれた、無償ですよ、無償!」
新宿のキャバクラでドクロ男が発砲した時、ちょうどキャバ嬢として小戸川を接待していた玲奈が、動画を撮り樺沢に送ったようなのだ。
樺沢はドクロ男をドブだと決めつけ(実際はドブではなく田中)、さらにドブを追い込んでいる。
「冤罪は警察がもっとも恐れるもんだろ?」
「キャバ嬢じゃないよな?お前ナニモンなんだ?何を嗅ぎまわってる?」
「いいか、練馬の女子高生失踪事件の犯人は小戸川なんだよ。俺をただの警察と思うな」
「小娘が首を突っ込んでいい案件じゃねえんだよ」
大門兄は女性に対しても容赦がない。
練馬の女子高生失踪事件も、キャバクラ発砲事件も、犯人はドブではないのだが、世間はドブが犯人だと思っている。
そのことに対してイラついているのかもしれない。
「あんま舐めんなよ俺を」
「お前が持ってる情報全部奪う気」
「任意をあたかも強制力があるように装って、違法性の高い捜査をするパターン。もしくは、力ずくで」
警官という立場をフル活用して、玲奈が持っている情報を奪おうとしている。
この後、間一髪で玲奈は大門兄から逃げだしたようだ。
大門兄にとって、ドブはそうまでして守らなければならない相手だったのだろうか。
大門兄は弟に後ろめたい気持ちがありながらも、最後までドブを裏切ることはなかった。
No.5 原田タエ子
「こういうことを頼んでいいかわかんないんだけど、一人の男の人を調査してほしいの」
「彼が普段何をしているか。彼から見た世界はどう見えているのか。とかその辺?」
「小戸川宏、41歳、だったかしら確か」
三矢ユキが殺害された次の日、タエ子は指宿探偵事務所を訪れている。
調査費用は1日5万~10万円。
決して少額ではないが、タエ子は十日間の調査を依頼したことが分かっている。
「私、本が書きたくて。私の勘が正しければ、調査費用なんて回収できると思ってる。それくらい奇妙なのよ、小戸川さん」
オーディオドラマ第13.13話「本日貸切」で、タエ子は「こういう事件もののノンフィクション書きたかったのよ、ずっと」と言っているのと合致する。
「2人には言ってなかったんだけど、私も独自で調査しようと思って」
「盗聴器を仕掛けたのよ、ボールペンに」
「小戸川さんの周りにまんべんなく出回るように、”幸せのボールペン”ってことにしたの。頭いいでしょ」
「きっとヤバい音声が撮れてるわよ」
「何そのNASAみたいな。受信なんてしないわよ、私」
同じくオーディオドラマ第13.13話で、自分が幸せのボールペンの仕掛人だったこと、盗聴器を仕掛けたはいいが受信機を持っていなかったことを小戸川に電話で告白している。
幸せのボールペンシリーズはより深くオッドタクシーの世界に浸かるのにもってこいのコンテンツなので、まだ聞いていないという方は是非聞いてみて下さい!
No.6 柴垣健介
インタビューの最中に、馬場から電話がかかってくるシーンがある。
その時のカットされた部分が公開されている。
特に考察の余地もないので、ここでは割愛。
ウォーターサーバーのコントになっている。
No.7 ドブ(溝口恭平)
「お前が歩道橋上がってきたとき、ラッキーだと思ったよ。見ろよここ。誰からも見えないぜ」
「昨日の盗撮したデータ、持ってんだろ?くれたら無傷で帰れるぞ」
「ハナから理由なんて不当なんだよ」
「デジタルなんて信用できなくてな。俺らの時代は物理なんだよ」
「後で他にデータ見つかったってなったら、どうなるか分かってんな?」
佐藤を見かけたドブが、歩道橋の死角で待ち伏せし、盗撮したデータを脅して奪おうとしている。
「昨日の盗撮したデータ」というのは、10月4日に佐藤と玲奈が銀行員の浮気調査をした際のデータである。
銀行員はドブを雇い、浮気の証拠隠滅をはかったようだ。
この後、佐藤はドブに証拠が入ったUSBメモリを奪われ、元データが入っていたPCを破壊されている。
「いくら叫ぼうが、ここには誰も来ないし、ここに埋められても死体は出てこないということだ」
「そうだよな。人生これから楽しいことがあるはずだもんな」
「お前は大事なものが見えてない。今の言葉の中に過去と未来が出てきた。もう終わった過去と、まだ何も起こっていない未来だ。大事なのは、今じゃないのか?」
「単純な二択なんだけどよ。探偵の守秘義務と命って、どっちが重いんだ?」
こちらは少し時間が進んだ後の話である。
ドブは何故自分の居場所が分かったのかを知りたいようだ。
玲奈は樺沢信者を装い、樺沢からドブの情報を引き出そうとしていた時期があるため、佐藤もドブを尾行していた可能性は高い。
佐藤はたまたまドブと会ったと言い張っているが、ドブは信じておらず、例の工事現場に追い込んだようだ。
恐らく佐藤は脅しに屈してドブに洗いざらい話しただろう。
理由は守秘義務よりも命の方が大事だからである。
No.8 三矢ユキ(和田垣さくら)
「売れる人って、同性からも愛されてますもんね」
「ほんと?うれしい!どういうところが好きですか?」
「そんなの言われたの初めて!どうしよう」
「もうちょっと世界観統一したほうがいいんじゃない?」
2話で市村と和田垣が秋葉原のイベント後に、外でグッズを手売りしていた時の会話
和田垣と市村がミステリーキッスとして活動していた時に、玲奈と花音に「ファンです!」と声をかけられたようだ。
和田垣も市村も、二階堂のように顔出ししていないことから、太客がつきづらいため、玲奈からファンと言ってもらえたことを心から喜んでいる。
「あー私のファンだー!」
「すごーい。ホントにアイドル目指してたんだね」
「事務所はどこなの?」
「え、全部自分たちでやってるってこと?それはそれですごいね」
「ちょっとやめてくださいよー。後輩の前でそんな」
「連絡先交換しようよ。私アイドルの友達いなかったからさ」
「あのまんまな感じ。気が強くて負けず嫌いで」
「だって、私も気軽に話し掛けられないもん」
こちらは最初のやり取りから少し経った頃の話だろうか。
時系列的には秋葉原のハロウィンイベントあたりかと思われる。
玲奈と再会し、玲奈もアイドルを目指していることを知って、お互いの連絡先を交換したようだ。
玲奈は和田垣に二階堂の印象を聞いている。
本物の三矢ユキの証言
何と証言の半分は、本物の三矢ユキの証言だった。
この証言では三矢ユキと玲奈・花音の過去を垣間見ることができる。
「先輩、知ってました?私たちが食べてるメープルシロップが偽物だって」
「この街のスーパーで売ってるやつ、あれフェイクなんです」
「お母さんが厳しいから無理ですよ」
「玲奈さんが走り幅跳びで自己記録更新したら行きましょう」
「ご褒美ですよ」
「簡単ですよ。カエルみたいに跳ぶだけ」
玲奈と三矢ユキは中学の陸上部で先輩・後輩の関係だった。
メープルシロップが偽物という話から始まり、「自己記録更新したら行きましょう」というのは、本物のメープルシロップを使ったお店に行こうという約束だろうか?
「もっと惡いことしておとがめなしの人、いっぱいいるじゃないですか」
「来たくなかったですよ。案の定気まずい空気流れてるし」
「でも、転校するんですよ、私」
「父親が東京に家を買ったから」
「渋谷とか想像してません?練馬ですよ、家」
「私、あんなことあったけど、やっぱり玲奈さんすきなんですよね。あ、花音さんも。だから最後に、あいさつしないまま別れたら、絶対後悔すると思って」
「ちょっと先輩。泣かないでくださいよ」
「またお会いできますよ。今生の別れじゃないんで」
こちらは陸上部で事件が起こったことを示唆している。
玲奈と二階堂の会話から、玲奈は三矢に嫉妬しており、「いなくなればいいのに…」と思っていたようだ。
三矢ユキが陸上部で怪我をしたことが分かっており、怪我は玲奈の嫉妬から引き起こされたものなのかもしれない。
三矢と玲奈を取り巻く空気が何やら気まずい様子だ。
三矢は練馬に引っ越すことを告げ、「あんなことがあったけど、やっぱり玲奈さんすきなんですよね」と言う。
玲奈は涙を流し別れを惜しんでいるようだった。
三矢は今生の別れではないと言っているが、結局これが二人にとって永遠の別れになってしまった。
「私、もう三矢ユキのつもりだから」と言っていた和田垣、涙の別れをした後輩が全くの別人にすり替わっているのを見て、玲奈はどう思ったのだろうか。
玲奈は個人的な理由から三矢ユキ失踪事件を追っていたことが分かる。
樺沢信者になってまで事件を調べていたのは、三矢ユキ失踪の真相を何としても暴きたかったからに違いない。
それほどまでに、玲奈にとって三矢ユキは特別な後輩だったのだろう。
No.9 市村しほ
「ほんと?うれしい!同性のファンいなかったもんね私たち」
「やば。仮面かぶってるのにオーラとかやばいってそれ」
「え?やば。何?この人。やば」
市村の証言内容は、和田垣と同じ場面となっている。
玲奈と花音に「ファンです」と声をかけられ舞い上がっていたところ、オーラといった単語が出てきて一歩引いたところか。
「事務所のオーディション。そんな大きい規模じゃなかった」
「そうだよ。それで3人が選ばれた」
「こうして仮面をかぶってる時点で、二階堂さんしか売る気ないじゃん」
「なんでって・・事務所の戦略じゃん?」
続いては最初のやり取りから少し時間が経った場面の話で、オーディションの様子や仮面の話を聞きだしたようだ。
玲奈の調査メモでは、市村は事件の「傍観者」と表現されている。
市村と和田垣が仮面をかぶっているのは、事務所の戦略でも、市村が可愛くないからでもない。
三矢ユキが死んでいることを世間から隠すためである。
つまり市村を「傍観者」と認定している調査員は、三矢ユキが既に死んでいることを突き止めている。
そして市村はこの時点で三矢ユキが死んでいることを知らない。
つまりこれは三矢ユキが死んだことが大々的に報じられる「12月15日以前の会話」ということになる。
No.10 山本冬樹
山本の未公開証言を見ていこう。
「大丈夫だ二階堂」
「落ち着け、大丈夫だ」
「声が大きい!静かにしろ」
「二階堂、ほんとにやってないんだよな」
「金を払ったら、何でもやってくれる人を知ってる。その人に頼むか・・・」
ご覧のとおり、二階堂と山本の会話である。
これはインタビューではなく盗聴だと分かる。
会話の内容から察するに、上目黒の事務所で二階堂が既に死んでいる三矢ユキを見つけ、山本が駆けつけた時の話だろう。
つまりこれは10月4日の深夜の話であり、何でもやってくれる人というのはヤノたちのことである。
「分かってる。本当は信じてるんだ。今さら、二階堂が俺に嘘つく理由なんかない」
「事務所に戻って片付ける。血痕とか残ってたらまずいからな」
「疲れただろ。家に帰ってゆっくり休め」
「それも俺がやっておく」
「最悪、全部俺がやったことにする」
こちらも同じく10月4日の深夜の話。
上目黒の事務所から場所が移って、芝浦埠頭で三矢ユキの遺体を解体し終わったあたりの会話か。
この後山本は事務所に戻って血痕を拭き取り、三矢ユキの携帯を遠くに持って行って捨てている。
「近いうちにヤノを裏切ることになった」
「失敗したら、俺はヤノに殺されるだろう。成功したとしても俺は警察に捕まる。ヤノに脅されて良くないこともたくさんしてきた。それを認めるだけだ。三矢のことは決してしゃべらない」
「ミステリーキッスのことを最優先で考えると、それが一番だ。だから心配するな」
「ミステリーキッスは、俺の夢なんだ」
こちらは少し時間が経っていることが分かる。
小戸川を殺そうとして失敗し、小戸川サイドについた後の話だ。
最後までミステリーキッスに執着し続けていることが分かる。
もしヤノが捕まって口を割るなら、自分が三矢を殺した犯人だと嘘の自白をする覚悟までしていたようだ。
二階堂「終わっていないと思っているのは山本さんだけだ」
二階堂ですら、ミステリーキッスは終わったと思っていた。
一体何が山本をこうまでさせるのか?
実際に山本が調査員に語ったのは何だったのか、それは是非映画館で確かめてみて欲しい。
そして冒頭で述べた異質な証言とは山本の証言のことである。
この違和感については、最後のまとめで後述する。
No.11 剛力歩
剛力には追加証言なしという扱いで、調査メモのみになっている。
かかりつけ医を超えた剛力の行動に違和感があるようだ。
No.12 大門幸志朗
「帰りたいのに、帰れないんだ。職場に」
「撃っちゃったから。鉄砲撃っちゃったから」
こちらはインタビューの時の未公開証言だろうか。
大門弟は管轄外だった芝浦埠頭でドブに発砲し、長いこと出勤していない状況だ。
「逃げちゃった。悪だ・・俺、悪だぁあぁああ」
「ちょっと、待て!こんなの持ってたらお前、めちゃめちゃ悪じゃん!」
「捕まえたいけど、捕まえたいけど、俺は悪だし、お前も悪だけど。俺にとっては悪の反対で・・・」
逃げた罪悪感からか、かなり混乱しているようだ。
実はこの時の会話の相手は田中である。
「こんなの」というのは田中が持っていたドブの拳銃のことだろうか。
柿花監禁事件の裏側で、大門弟と田中が出会っていたというエピソードはなかなか興味深い。
No.13 矢野治人
「例の工事現場?できることならそうしてえな。とにかく車出しとけアジトへ。そんで面倒なことは明日へ」
「最後の手段を使うことないでしょ普段。早くしないと日が昇ってく段々」
「二階堂、お前は帰ってろ。また呼ぶから次回以降。正直言うけどお前邪魔。足手まといお疲れ様」
これは10月4日深夜に解体作業を終えて三矢ユキの遺体を海に投げ込んだ後あたりだろうか。
会話の相手は関口や二階堂か。
工事現場が何を指しているのかは確信はないが、市村が柿花を呼び出したのも工事現場、山本が小戸川を殺そうとした時にも、人気のない工事現場までタクシーを誘導している。
工事現場は、反社らしく「人を消す」のには絶好のポイントかもしれない。
最終手段として人を殺すことになった時のために、ヤノがこの工事現場を「人目につかない絶好の場所」として山本に教えていた可能性がありそうだ。
No.14 関口東吾
「あそこは最後の手段だ」
「あそこは組織で共有している土地だ。これは上の者にも内密でやってる」
あそこというのは、ヤノが言っている工事現場のことだろう。
この工事現場は組織の息がかかった土地のようだ。
上の者に内密でやっていることと言えば、「殺し」だろう。
黒田が言う唯一のルール「人を殺さない」、そのルールは暗黙のうちに破られていたのかもしれない。
「もう時間がない。ここまでにしよう」
「ああ。俺たちが必ず蘇らせてやる」
「ミステリーキッスの事務所は、元々経営がうまくいってなかった。そこへ来て今回の事件だ。少々手荒なまねはしたが分かってくれ。ミステリーキッスのためだ」
手荒な真似というのは、三矢の遺体に対する処理のことだろうか。
ミステリーキッスの事務所の経営は宣伝費や衣装代など、全て山本が賄っていたという。(ノベライズ版オッドタクシーより)
その膨大な費用を山本一人が背負うには最初から無茶があった。
「蘇らせる」「ミステリーキッスのため」と囁きながら、関口は山本を利用し、売り上げの半分を巻き上げていくのである。
No.15 二階堂ルイ
「あなた調査会社の人?」
「じゃあなんでこんなことしてんの。わざわざアイドルイベントにまで潜入して」
「メンタル病んでいなくなる子なんて、この世界山ほどいるよ。いちいちそういうのに構ってられない」
「あんたみたいに、田舎の中学が一緒ってだけで熱くなれるような甘い覚悟でやってないんだよ」
「そういうくだらないかまかけるのやめたら?警察でも行方が分からないのに、民間の調査会社に何ができんの?」
「そうやって、せいぜい他人の足引っ張っていきなよ」
「私を、あんたとか、ついでに三矢ユキとかと同列に並べないで」
「私は何も知らない」
「もしそうなら、衝動的で馬鹿すぎるでしょ。事前に事務所の周りの防犯カメラ、チェックしてたわりに」
二階堂がアイドルイベントに潜入した玲奈と会話をしているようだ。
大勢のアイドルが参加したイベントというと、ハロウィンイベントだろうか?
中学生の頃、三矢ユキは埼玉秩父の中学に通っており、玲奈と花音の後輩だったようだ。
話題は三矢ユキの行方に関することだ。
三矢ユキはメンタルを病んでどこかに行ったのではないかと二階堂が言っている。
さらに後半には、玲奈が「あなたが三矢ユキを殺したのか?」とさらに一歩踏み込んだ質問をしたのかもしれない。
実際二階堂はセンターを譲ってもらうために三矢を呼び出したし、断られたら殺すつもりだった。
殺すときのことを考えて、二階堂は防犯カメラがないことを事前に調べている。
この二階堂の台詞から見えてくるのは、異常なまでの負けず嫌いということだ。
誰かが自分と同列に並ぶことを嫌悪している。
二階堂ルイは自分が一番でないとダメなのだろう。
アイドルであることも、ミステリーキッスのセンターも、全ては自分が輝くためだけに必要なだけなのだ。
No.16 佐藤
「これ幸運の宝船消しゴムですよ」
「小学校のときに父さんが買ってきてくれた中国のお土産なんですけど、これを手に入れてから、僕のもとに珍しいものが集まってくるようになったんですよ」
「当時、一大消しゴム集めブーム旋風を巻き起こしたんですよ」
「だとしたら、僕が今まで失敗してきた選択の数々も、死ぬ前に成功に反転する可能性もあるってことですよね」
これは4話「田中革命」で佐藤がクラスメイトに見せていた消しゴムのことだろう。
佐藤の父は家具を輸入する仕事で海外へ買いつけに行っており、当時は羽振りが良かったようだ。
さまざまな消しゴムが佐藤の元に集まったが、田中が持っていたドードーの消しゴムは見つけられず、内心羨ましかったことが明かされた。
調査メモには「珍しいモノを引き当てる能力は本物」と書かれている。
映画では、ズーデンでドードーを何体も持っていることも判明しており、佐藤の元にはさまざまな珍しいものが集まってくるようだ。
探偵はうってつけの能力だが、佐藤の探偵としての調査力は玲奈には及ばない。
「練馬の女子高生がいなくなった日に小戸川が原田第三ビルに行ったのは間違いありません」
原田第三ビルはまるまるヤクザのビル。
ミステリーキッスの事務所として山本が一室借りているが、関口とヤノと鉢合わせしボコボコにされている。
三矢ユキが殺された現場でもある。
第3話予告で、小戸川に来年の抱負を聞かれた時に、タエ子は「やまびこ2号店開こうかしら?」と言っている。
1話で「お金だってその人の能力の賜物なんだからそりゃ大事よ」と言っているだけあって、タエ子はかなりの資産家なのかもしれない。
「白川さんに必要なのは、決断することだと思います」
「自分で選択したら、仮に過去に戻っても同じ選択をすると思うんです」
これは白川との会話だろうか。
佐藤に言われたからかは定かではないが、白川が決断したことがある。
「この人は私が守るって決めたんだ。例え小戸川さんに拒絶されても・・」
この後、白川は何度も小戸川のピンチを救うことになるのである。
未公開証言まとめ
調査内容は全て調査対象の台詞のみで行間が全て一定なので、いきなり時間が飛んだりするものも多かった。
映画に登場した証言が、事件の裏側ならば、この未公開証言は裏の裏といったところだろう。
そして、不可解なのは山本の証言である。
未公開証言の中には、10月4日以前の内容も勿論あるのだが、その場合は玲奈が実際に見聞きした証言である。
しかし山本の証言は、10月4日の事務所の場面と、10月4日芝浦埠頭の場面、二つの場面で盗聴されている。
これはミステリーキッスの事務所と芝浦埠頭に盗聴器が仕掛けられていたのではなく、山本自身に盗聴器が仕掛けられていたと考えるのが妥当だろう。
この時期に山本の動きを知りたがっている人物がいるとしたら、和田垣さくらではないだろうか?
ミステリーキッスのデビューを知り、いてもたってもいられなくなった和田垣は、山本に接触し動向を探ることで、自分がミステリーキッスとして加入するチャンスを伺っていたとすれば説明がつく。
「10月4日の深夜、何故和田垣は上目黒の事務所に向かったのか?」という疑問に対する答えの一つとして、「山本に盗聴器をつけており、メンバーを殺すタイミングを伺っていた」というのはありなのではないかと思う。
その盗聴内容を、和田垣と連絡先を交換した玲奈が後から知ったという流れだ。
もし玲奈が10月4日の段階でこの盗聴を聞いていたのなら、小戸川の周囲の人物ではなく、初めから二階堂やヤノたちを追っていただろう。
ただし脚本家の此元先生によると、和田垣について「慎重さに欠けていて、軽率で、行き当たりばったりなところもあります」と言っているため、盗聴器を仕掛けるなどの賢しいことをするのかは、疑問が残るところだ。
未公開証言の内容を全て読んでも、オッドタクシー事件の全容が明かされるというわけではなく、それぞれの人物に背景や過去があり、複雑に事態が絡み合っていることを知らされる内容だった。
特に玲奈・花音・佐藤の動きについては、まだまだ分からないことが多い。
この3人の活躍は僕の頭の中にしっかりとあって、空白も完全に埋まっているのですが、さすがに描ききれませんでした。いつか皆さんに完璧な形でお見せできればと思います。最悪どこかで無料で発表します。
『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』パンフレット インタビュー 此元和津也(脚本)
此元先生も、3人の空白を見せたいといっているので楽しみだ。
さらなる広がりを見せるオッドタクシーの今後に大いに期待したい。
いや~オッドタクシーの考察は実に楽しいです!
皆さんのご意見もお待ちしております😘
【2022年最新版】オッドタクシー人物別考察はこちらの記事をどうぞ。
佐藤と玲奈が主人公の「ルートオブオッドタクシー」がコミカライズ連載開始!!
第一話はこちらから🚕
— 肋家竹一 (@abry_take) February 23, 2023
#ルートオブオッドタクシー #マンガワン https://t.co/8Zls982god
ルートオブオッドタクシーが連載開始されることになりました。
作画はコミカライズ版オッドタクシーでも作画を担当された肋家竹一先生です😊
隔週金曜更新ということで、今後が楽しみです!!
情報量がすごい1話となっていますので、是非ご覧ください🎵
ルートオブオッドタクシー1話の考察はこちら👇
↓アニメ全13話の考察はこちらのページから↓
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