異端審問官が増員された歴史的背景を解説!
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」の第10話「知」の考察です。
バデーニ「誰もが簡単に文字を使えたらゴミのような情報で溢れかえってしまう」
考察記事を書いている身としてはドキッとしてしまう言葉です…😓
読みに来てくれる皆さんのために、精一杯分かりやすい記事を書いていきたいですね!
それにしても、バデーニは興奮すると吐いたり壁を殴ったりと、情緒が忙しいですね😂
オクジーが粛々と掘っている穴もそうですが、次回以降の布石かな?と感じることが多かった回でした。
そこで今回は、バデーニが貧民に言った「貸してほしいのはここだ」の真意について予想していこうと思います!
その他、初見だと見逃しそうな細かい描写について解説するので、気になった方は最後まで読んでみてください😊
前回の考察はこちら👇
このページはアニメ「チ。 ―地球の運動について―」の10話のネタバレを含みます。
10話をご視聴の後で読んでいただると、より楽しめます。
惑星の周回軌道は楕円なの?
バデーニ「仮に中心は二つでも円は描ける。その際軌道は…楕円か」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」第10話「知」
オクジーが壁にかけたフベルトのネックレスから、バデーニが何やら閃いたようです!!
これはオクジーお手柄なのでは?😍
歴史上では、惑星の周回軌道が楕円であることはケプラーが発見します。
ケプラーが発表した法則によって、地動説は科学的な根拠を持ち、多くの人々に受け入れられるようになっていきました。
その後ガリレオも望遠鏡による観測で地動説を支持します。
最終的にはニュートンが万有引力の法則を発見することで、地動説が完全に確立されることになりました。
ただしローマ教皇が地動説を正式に承認したのは、1992年のことです。
結構最近のことでビックリしました😅
地動説が認められるまで随分長い道のりがあったんですね…。
図書館は何故閉まっていた?
クラボフスキ「えっ!?今日にかぎって緊急閉館?一体なぜ…」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」第10話「知」
クラボフスキは街の図書館を訪れますが、何故か閉館していました。
まあ、ここへ来るという選択に後悔はない…ということにしておこう。うん。
クラボフスキさん、来たことめっちゃ後悔してるやん🤣
10話はクラボフスキさんの人柄がよく分かる回でしたね!
彼のことが一気に好きになっちゃいましたw
閉まっていた理由は、街の図書館がピャスト伯の施設だったからです。
オクジー「それで組織の再編成とかでヨレンタさんも大忙しらしくて」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」第10話「知」
ピャスト伯が亡くなったことで天文の研究所も慌ただしくなり、急遽図書館を閉めることになったのでしょう。
ピャスト伯は死の間際にも図書館の屋上で観測をしていました。
そして何かを本に書き留めますが、倒れた拍子に本を屋上から落としてしまいます。
クラボフスキが図書館から帰る際に見つけたのは、ピャスト伯の本でした。
ピャスト伯の書いた本に何が書いてあったのか気になります…。
やっぱり地動説に関わることですかね?
オクジーの本には何が書いてあった?
オクジー「あの…ちょっと…本を書きたくて」
バデーニ「は?」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」第10話「知」
以下、オクジーの本についてまとめました。
- 日記
- 物語形式
- 誰かに発表する予定はない
- 身元は明かさない
異端認定されないために、バデーニはかなり慎重に研究してるのに…。
オクジーちょっと軽率すぎやしませんか?😅
ただこのオクジーの本ですが、バデーニのこれまでの価値観を大きく変える内容であったことが分かります。
その理由は二つです。
配給のパンを増やした
バデーニ「配給だ」
オクジー「あれ?いつもより多いんですが」
バデーニ「私は小食だったことを思い出した。明日からも粛々と穴を掘ってくれ」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」第10話「知」
一つ目はパンの配給を増やしてくれたことです。
以前オクジーが頼んだ時は断ってましたよね。
「小食だったことを思い出した」って言い訳が苦しすぎるw
貧民に寄付をした
バデーニ「施しなど無意味だ」
オクジー「え?」
バデーニ「貧民に施しを与えれば天国に行けるなんて、私は信じない。平気で罪を犯すヤツらだ」
オクジー「聖職者さまがそんなこと言うなんて」
バデニー「フンッ。神が彼らに与えた運命があれなんだよ」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」第7話「真理のためなら」
二つ目は貧民に寄付したことです。
貧民が貧しいのは神が与えた運命で、施しは無意味だとはっきり言っていました。
この二つの行動の変化から、バデーニはオクジーの本を読んで感動した…ということになるのでしょう。
オクジーの本、内容が気になりますね~…。
今となっては、何故これだけ素直で心優しいオクジーが、人の命を奪う代闘士という職業につかざるをえなかったのか、そんな世の中間違ってるとも思うんです…😅
バデーニは貧民に何を頼んだ?
バデーニ「貸してほしいのはここだ」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」第10話「知」
バデーニが貧民に何か頼んでいたシーンも非常に気になりました。
バデーニの性格上、かなり大きな仕事を貧民に任せようとしていることが分かります。
というのも、バデーニは仕事に対して相応の対価を支払うことを信条としているからです。
例外として、オクジーは体よくこき使ってる気がしますけど…w
クラボフスキ「虹が何故あんな色してるか知ってます?さっき子供たちから質問されたんですが、答えられなくて」
バデーニ「それ、タダで教えろと?」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」第10話「知」
クラボフスキに虹のことを聞かれた時にも、ちゃっかり追加の紙とインクをもらっていましたねw
そのバデーニが、貧民に対して「今後もその男がパンを与え続けると約束しよう」と言ったわけですから、貧民の食い扶持を一生保証するだけの大仕事をやってもらうつもりなのではないでしょうか?
貧民にやってもらうのは知識の共有?
ここからは根拠が乏しいため、予想とさせていただきます。
バデーニがオクジーの本に感銘を受け、今までの価値観が大きく変わったと仮定すると、今までのバデーニの行動や信条が転回することになります。
これまで「パンを増やす」「貧民への施し」などを挙げてきましたが、もう一つ候補が残っているんですよ。
それは「知識の共有」です。
バデーニ「ハァ…あのね。私は前提として知識の共有に興味はありません。というか嫌いだ」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」第10話「知」
バデーニは「知識の共有が嫌いだ」とクラボフスキに話しています。
これは昔バデーニが私塾に通っていた頃、親友に研究結果を盗まれた過去が原因でしょう。
オクジーの本を読んだことでこの考えが変わったとしたら、バデーニは貧民と知識の共有をしようとしているということになりませんか?
「貸してほしいのはここだ」と頭を指しているのも、知識を共有しようとしているといえそうですし、サブタイトルの「知」ともマッチしてる気がするんですよね…。
ゆんこさん、水を差すようで悪いんですが、貧民が地動説のことを理解するのは難しいと思いますよ?
彼らは日々の暮らしで精いっぱいだと思いますし…。
確かに「知識の共有」といっても、具体的にどんなことを指すかまでは分かりませんでした😅
ちょうど1445年頃に活版印刷機が発明されたんで、本を印刷する作業を貧民にやってもらうってのはどうです?
印刷に使用する文字の型を並べる作業一つとっても、文字の読み書きスキルは必須です。
文字も読めない貧民が、活版印刷の作業をするのは難しいんじゃないでしょうか…。
ぐぬぬ…。
いいセンいってると思ったのですが😓
10話の感想
地動説完成おめでとうございます!
地動説を唱えたコペルニクスの時代まであと100年弱あるため、完成まではもう少し先だと思っていたんですが、思ったより早かったですね!😲
個人的にはバデーニの「貸してほしいのはここだ」が気になったため、そこにフォーカスして大胆に予想してみたんですが、いかがだったでしょうか…。
皆さんのご意見も聞けたら嬉しいです😍
それでは、以下気になったことをピックアップしていきます🎵
何故異端審問官は増員されたの?
司教「数百年前、西ローマ崩壊後社会は秩序を失った」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」第10話「知」
西ローマ崩壊というのは、476年に西ローマ帝国が崩壊したことです。
西ローマ帝国が崩壊した時代、カトリック教会は社会的混乱をおさめ、秩序を維持する役割を果たしました。
アニメの舞台となる時代の少し前、1339年から1353年にかけて黒死病(ペスト)が広がり、ヨーロッパでは多くの人が命を落としています。
この頃の疫病は神罰として見なされる文化的背景があり、多くの人々が教会への寄進などを行って、神の怒りをなだめようとしました。
一方で疫病を防げなかった教会への不満や、教会内部の腐敗、聖職者の堕落などが問題となっていたため、司教は社会的不安を抑え教会の権威を回復するために、異端審問官を新たに増員し、異端者への弾圧を強めようとしたのでしょう。
司教の「善意100%!😊」って笑顔が、かえって怖いんですよね…😖
ヨレンタも安全ではない?
今回二人の異端審問官が新たに登場しました。
正直ノヴァクがヨレンタを拷問するなんて天と地がひっくり返ってもありえないと思っていたので、「ヨレンタは安全」「万が一バデーニとオクジーが捕まっても、ヨレンタが二人の遺志を継いでくれる」と勝手に思い込んでいたんですが…ちょっと雲行きが怪しくなってきました😓
というのも、このレフの声を担当する間島淳司さんですが、既に1話冒頭のナレーションとして登場しているからです。
1話冒頭というと、オクジーらしき人物がノヴァクに拷問されている不穏なシーンですよね。
これは拷問の様子をレフたちが見学している状況…ともとれそうです。
ヨレンタが異端者として捕らえられ、ノヴァクの知らないところで拷問されてしまう可能性も浮上したのではないでしょうか?
そして次回のサブタイトルは「血」。
せっかく地動説が完成したというのに、悪いことが起きそうで今から泣きそうです…😭
ルクレティウスの詩
ラストはクラボフスキさんが気にしていたルクレティウスの話で〆ようと思います。
ルクレティウスはエピクロスの思想を受け継ぎ、それを詩で表現した哲学者です。
ルクレティウス『De Rerum Natura』(『事物の本性について』)の一節をご紹介します。
Ex nihilo nihil fit(無からは何も生じない)
ルクレティウスは「世界は原子から構成されていること」「死は単に原子の分解であり、魂も含めて完全に消滅するもの」として、神の介入を否定し、自然現象を科学的に説明しました。
この考えは、死後の世界や天国や地獄などの概念がある教会の教えと相反するものであったため、次第にルクレティウスの思想は忘れ去られていきます。
しかし後に『事物の本性について』の写本が発見され、多くの人々に受け入れられていくことになりました。
「無から何も生じない」という主張は、逆に言えば「何ものも無にはかえらない」という意味であり、人々の知的探究心であったり、物語の中心である「地動説」が決して人々の心から消すことはできないことを言っているようにも思います。
ラファウ「敵はてごわいですよ」
ノヴァク「ん?」
ラファウ「あなた方が相手にしているのは僕じゃない。異端者でもない。ある種の想像力であり好奇心であり、畢竟、それは知性だ」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」第3話「僕は、地動説を信じます」
そのことを知ると、ラファウが言っていたことを思い出すんですよね…。
勝ち負けの問題ではないと思うんですが、地動説と教会との信念のぶつかり合いがどういう方向に向かっていくのか、次回以降も見守っていきたいですね。
おまけ。
バデーニさんに倣って、私も壁ゴンしてみました。
器物破損、ダメ。絶対w
次回の更新は12月8日(日)の予定です。
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