何故ラファウの家には天文学の資料がある?
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」の第1話「『地動説』、とでも呼ぼうか」、2話「今から、地球を動かす」の考察です。
何とびっくり、初回は1話と2話が連続放送となりました😲
ノヴァク役の津田健次郎さんや、フベルト役の速水奨さんといったイケボが渋滞した回でしたが、皆さんはどうお感じになりましたか?
現代では当然とされている『地動説』が異端とされている時代のお話ということで、何か視聴するのもハードルが高そう…と尻込みされる方も多いのではないでしょうか。
ご安心ください、このサイトでは視聴した方が疑問に思いそうなことをできるだけ簡潔にお伝えしていこうと思います😊
アリストテレスは聞いたことあるな~くらいで大丈夫です🤩
このページはアニメ「チ。 ―地球の運動について―」の1話と2話のネタバレを含みます。
1話と2話をご視聴の後で読んでいただると、より楽しめます。
「チ。」の舞台、P王国ってどこ?
15世紀(前期)のヨーロッパ、P王国というざっくりした舞台設定について解説します。
まずP王国は恐らくポーランド王国のことです。
当時のポーランド王国はカトリック教会の影響下にありました。
ただし他のヨーロッパ諸国と比較すると、ポーランド王国は異なる宗教や宗派に対して寛容だったため、ノヴァクのような過激な異端審問官がいたのかは疑問が残るところです。
それでもP王国をポーランドと思ったのは、後に地動説(太陽中心説)を公にしたコペルニクスの出身地がポーランドだからです。
後に近代的な地動説を提唱するコペルニクスの出身地が舞台となると、何だかロマンを感じます🤩
紀元前3世紀に地動説を唱えた人がいる?
フベルト「君はアリスタルコスを知っているか?」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」1話「『地動説』、とでも呼ぼうか」
アリスタルコスとは、紀元前3世紀に初めて科学的な地動説を提唱した人です。
1話では、天動説や地動説に関わる人物が登場したので、年表にしてまとめました!
2世紀にプトレマイオスが天動説を体系化し、以後約1400年間天動説が主流となりましたが、太陽を中心に据え、惑星の配置をはっきりと示したアリスタルコスの説は非常に優れていたといえます。
そして年表から、地動説が出始める少し前の時代が「チ。」の舞台であることが分かります。
地動説は何故異端研究なのか?
ポトツキ「明日、私の知人フベルトの身柄を引き取ってほしい」
ラファウ「フベルトさんって異端者として捕まっていたんですよね。禁じられた研究とかで。引き取ってよろしいのですか?」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」1話「『地動説』、とでも呼ぼうか」
地動説は当時の教会の公式見解と異なっていました。
聖書には太陽が動いていることを示す表現があり、これを文字通りに解釈すると天動説と一致していたからです。
太陽が動いた表現については以下のとおり。
שֶׁמֶשׁ בְּגִבְעוֹן דּוֹם וְיָרֵחַ בְּעֵמֶק אַיָּלוֹן׃
וַיִּדֹּם הַשֶּׁמֶשׁ וְיָרֵחַ עָמָד
(現代語訳)
太陽よ、ギブオンの上で静止せよ。月よ、アヤロンの谷で(静止せよ)
そこで太陽は静止し、月はとどまった。
『旧約聖書』ヨシュア記 10章 12-13節
ヨシュアが戦いの最中に太陽と月に命じ、それらが実際に動きを止めたという場面の描写です。
これは聖書の中でも特に有名な奇跡の一つとして知られています。
教会は長きにわたって天動説を支持し続けましたが、科学的証拠の蓄積と社会の変化に伴い、最終的には地動説を受け入れていきます。
フベルトは何故ラファウをかばった?
異端者は二度捕まれば即死刑であるにも関わらず、フベルトがラファウをかばったのには理由があります。
それはフベルトが「やり残したこと」と関係しています。
フベルトの「やり残したこと」とは、地動説について書かれた書物を燃やすことです。
フベルト(しかし私は未練がましく燃やす勇気を持てず、さらに傲慢にも私より優れた人間に焼却されることを望んだ)
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」2話「今から、地球を動かす」フベルトの手紙より
フベルトは証明できない地動説を、不完全な説として消し去ろうとしていました。
最も信用のおけるラファウにネックレスを託し、書物を燃やしてもらおうと思ったようです。
自分がやり残したことをラファウにやってもらうため、フベルトはラファウをかばったということになります。
ラファウ「燃やす理屈なんかより、僕の直感は地動説を信じたい!」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」2話「今から、地球を動かす」
しかし結局のところ、ラファウはフベルトの書物を燃やすことはできませんでした。
思うに、フベルトは書物を燃やして地動説を消し去るか、燃やさずに地動説を引き継ぐか、ラファウ自身に決めてもらいたかったのではないでしょうか?
フベルト「さぁな。君の自由だ。だが天文をやれ。自分のために」
観測地で別れた時のセリフや、死ぬ間際のフベルトさんの笑顔が忘れられないんだよなぁ…😭
何故ラファウの家には天文学の資料がある?
ラファウ「それにしても、義父さんはあれほど天文を毛嫌いしているのに、どうしてこの家にはこんなに資料があるんだろう」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」2話「今から、地球を動かす」
ラファウの家に天文の資料が多いのは、おそらくポトツキも天文を志していたからです。
天文学者であるフベルトが知人なわけですし、ポトツキが大学で天文を専攻していてもおかしくないですよね😅
1話・2話の感想
フベルトに脅迫されたにも関わらず、「もっといい観測地がある」と聞かされて、ノコノコ行っちゃうラファウに「チョレ~!」と思った方も少なくないでしょうw
好奇心に逆らえないラファウ君、嫌いになれないよ🤣
歴史的に考えるならば、地動説が徐々に支持を得るのはまだずっと先のこと、そうなるとラファウの研究が実を結ぶのは難しいのが非常に辛いところです。
異端審問官であるノヴァクもしつこそうですし、どうやって周囲を騙しながら研究するんでしょう?
以下、おまけの雑学になります🎵
黄金比と黄金螺旋
ラファウ「合理的なものは常に美しいのだ」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」1話「『地動説』、とでも呼ぼうか」
ラファウが美しいと言っていた図は、黄金比から導かれる曲線で「黄金螺旋」と呼ばれています。
黄金比とは、約1:1.618の比率で、自然界や芸術、建築などでよく見られる調和のとれた比率です。
数学的には、φ(ファイ)で表されます。
この黄金比には、フィボナッチ数列との不思議な関係があります。
フィボナッチ数列は、1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21…と続く数列で、前の2つの数を足して次の数を作ります。
この数列の隣り合う項の比が大きくなるにつれて、かぎりなく黄金比に近づいていきます。
一見関係なさそうな数列と比率が、実は深い繋がりがあるみたいで不思議ですよね~!😍
SとTは何を表す?
ラファウ「あんな巨大な天が、一つの発想でこんなに合理的に動いてしまったら、この説を美しいと思ってしまうッ!」
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」2話「今から、地球を動かす」
「天が静止して地球が動く」というフベルトの地動説を聞いたラファウが書いた図です。
う~ん、美しい🤩
ここで書かれているSは「SOL(太陽)」で、Tは「Terra(地球)」を表しています。
SはSunでTはTikyu(地球)と冗談まじりで言ったら、息子に
「そんなわけないじゃんw」
と爆笑されたんですが。
…ここだけの秘密にしといてくださいね😭
Tikyuって何やねん…私は何であんなアホなことを…。
このブログでは、アニメ「チ。 ―地球の運動について―」を各話考察してまいります。
連続2クール・全25話ということで、さまざまな人物の物語が描かれることが予想されます。
ラファウもフベルトと同じように地動説を証明するために命を捧げるのでしょうか?
合理的に生きてきたラファウがこれからどんな選択をしていくのか目が離せませんね😊
それではともにアニメを楽しんでまいりましょう🎵
次回の考察はこちら👇
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