タクナハを一人旅立つフシ。そんな彼を追い、ある人物がフシと合流する。
あらすじ
12話のあらすじはこちら。グーグー達と共に人として過ごした4年間。
家族と共に穏やかに食卓を囲むのがフシの夢だった。
しかし、現れたノッカーによって、フシはさまざまな器を、そしてグーグーを失ってしまった。
(何も・・何も出来なかった・・グーグー・・ごめんなさい)
無力な自分に打ちひしがれるフシ。
フシ「敵は俺のところへ来る。俺のせいで誰かが死ぬのはもう嫌だ」
グーグーの死を経験し、一人酒爺の家を出たフシ。
自分の中に渦巻く感情を必死に処理しながら、フシは黙々と一人旅を続けていた。
フシ「おい出てこい、”黒いの”」
そして、フシは初めて自分から観測者を呼び出す。
観察者の目的
自分はこれからどうすればいいのか、フシは観察者に尋ねる。
奪われた器を取り戻すため強くなりなさいと観察者は言う。
フシ「違う、お前は親なんかじゃない。俺にとっての親は・・・」
フシの頭の中にぼんやりとマーチの輪郭が浮かぶが、フシは先日の戦いでマーチの器を奪われたため、マーチのことを思い出すことが出来ない。
忘れたことさえ忘れているのだ。
フシ「何で俺だけ生きて・・グーグーが死ななきゃいけなかったんだ・・」
観察者「ただの性質の違いだ」
フシ「意味が分からない」
観察者に反発してフシは果物に変身するが、観察者は無理矢理少年の姿に戻してしまう。
フシ「そこまで言うならお前が戦えよ!お前は俺を支配できるくらいには強いんだろ?!」
観察者は自分がいずれいなくなった時の為に、フシに強くなってもらいたいようだ。
「そんなの知らない!」とフシは観察者に掴みかかろうとするが、振りかざした腕は観察者を捕らえることは出来なかった。
手がかかる、と今度はフシをオオカミに変身させる観察者。
フシ「何やってもグーグーは帰ってこない。だからもうどうでもいい。何が起きようが、俺がどうなろうが」
観察者「本当そう言い切れるかな」
一触即発の空気の中、懐かしい匂いを感じ取ったフシ。
(この匂い・・何で?)
フシは匂いに向かって走り出す。
そんなフシの後ろ姿を観察者は見守っていた。
ピオランとの再会
フシ「ピオラン?!」
何とフシが匂いを辿った先にいたのはピオランだった。
ピオラン「わしは気づいたんじゃ。お前を助けてやれるかもと思ってタクナハへ来たが、結局何もしてやれんかったってことにな。だからまたお前についていくことにした。」
フシ「そ、そんな・・!爺達はどうなるの!?」
戸惑うフシにピオランは言う。
酒爺達には自分の気持ちを伝えたこと、リーンやシンが酒爺の店を支えてくれること、リーンはフシやグーグーのことを悟っていて、ピオランを送り出してくれたことを。
フシは少年の姿に戻って言う。
フシ「ピオラン・・帰って」
ピオラン「何と?いたいけなババァの申し出を断るのか?」
目の前で大切な命が失われるのが怖くて、フシはピオランを無理矢理にでも連れて帰ろうとするが、ピオランはフシの太ももに噛みつく。
フシ「何で言う事聞いてくれないんだ・・!俺はもう誰かが泣くのは嫌だし、それを見るのも嫌なんだ!だから帰ってよ!俺の為に帰って!」
ピオラン「うるさい!!わしの人生じゃ!わしの好き勝手にさせろー!!」
ピオランは持っている杖でフシをボコボコ叩く。
フシ「勝手にしろ!」
無条件の愛
ピオランが強引に同行するようになって数日が経った。
温かい食事を用意したり、野宿する時に布団をかけてくれたりと、ピオランは何かとフシの世話を焼いてくれた。
グーグー(親ってのは無条件の愛で自分に尽くしてくれる人のことだよ)
グーグーが言っていた「親」というものの姿をピオランに見出したのかもしれない。
初めの方こそ拒絶していたものの、フシもだんだんと根負けしてピオランに言う。
フシ「ピオラン、一つ約束して。死なないで」
不死身の自分よりも、ピオランは先に死んでしまうだろう。
それでもフシはピオランに言っておきたかった。
ある日フシとピオランはある町に辿り着く。
美味しいご飯にありつけるとピオランは飯屋に行ってしまった。
いつノッカーに襲われるか気が気でないフシは町の入口でピオランを待つことにした。
待つ間にフシは観察者を呼び出し、ノッカーの場所を尋ねる。
ノッカーの場所はここから北西に6㎞ほど行ったところだと言う。
ノッカーが卵の状態の時は気づかないが、孵化して動き出すと、体が虫を這うようなひどい不快感があると観察者は言う。
フシ「もうちょっと分かるように言ってくれよ」
ピオラン「誰と喋っとるんじゃ?」
要領を得ない話に苛立つフシ。
そこへ町からピオランが戻ってきた。
ピオランには観察者の姿が見えないので、フシが独り言を言っているように見えたのだ。
ピオラン「フシ、何でも言え」
話していいものか迷うフシに、ピオランは温かい笑顔でそう言うのだった。
二度目の死
ピオラン「黒い男か・・そいつがお前に強くなれというんじゃな?ノッカーを追い返すために」
フシはピオランに観察者のことを話した。
ピオランはフシ自身がどうしたいのかを問う。
今もしノッカーに襲われたら勝ち目がない。
ピオランを守るためには自分が強くなるしかないが、フシは観察者の思惑通りになるのが嫌だった。
ピオラン「のう、フシよ。わしはお前に守ってくれと思わん。浮草のように生きるのもええもんじゃぞ」
フシ「うん・・」
(本当にそれでいいのか・・?何か忘れている気がする)
道中、木になっている果物を見て、ピオランがフシに果物を取るよう頼んだ。
フシ「仕方ないなぁ・・あれ?」
ピオランのために木に登ろうとするフシ。
しかし全然木に登れない。
ピオラン「何じゃ情けない。前みたいにマーチの姿でやれば簡単じゃろうよ」
フシ「マーチ?」
ピオラン「マーチじゃ!知っとるじゃろ?あのちっこいの」
フシ「誰のこと?」
何度も木に登ったことは覚えているのに、ピオランが言う「マーチ」が誰なのか分からない。
(お前は奪われたのだ・・ノッカーにマーチを)
フシ「たくさんのものを俺にくれた人がいた・・」
(ほら、”ありがとう”って)
(変なワンちゃん!)
(大人になるって”知っていく”ってことでしょ?)
マーチがくれた言葉を、フシはおぼろげに思い出す。
フシ「あれが・・あれがマーチなのか?ものすごく大事なものだったんじゃ・・?」
自分の中に気づいた”空白”にフシはうなだれるのだった。
強くなる
ピオラン「なるほど・・敵はお前の記憶も奪うのか。もしグーグーの姿のお前がやられたら、グーグーの記憶もなくすんじゃな」
そのことを「二度目の死だ」というピオラン。
「忘れられて初めて本当の意味で死んで行くんじゃろうな」
フシ「そうはさせない。俺、強くなる」
大切なものを二度と失わないため、フシは決意する。
強くなる為、フシは道すがらさまざまなものを積極的に獲得していった。
痛みに反応して物を作ることができるのは、以前グーグーと行った実験で分かっていたので、自分に刺激を与えて覚えていく。
しかし生き物の場合、対象が生きているうちは変身出来ない。
また、フシは魚やザリガニを捌くことが出来ない。
近くにいると痛みや嫌な感じが伝わってくるからだ。
対象が死んだら変身できるが、カニのような知能がなさそうなものに変身する勇気はない。
手からカニの死骸を生み出すことは出来た。
(きっとグーグーも作れるんだな・・ぐったりして・・動かないグーグーが)
ピオラン「そうじゃ!いい場所があるぞ、フシ!」
ノッカーをどう倒すかピオランと相談していると、ピオランが何か思いついたようだ。
ゼダンの港から船に乗って行けるサールナイン密林は生き物だけの楽園で、人は寄りつかない場所らしい。
そこでノッカーに対抗する新たな力を獲得しようというわけだ。
フシ「分かった、行こう」
フシとピオランは港へと向かうことにした。
監獄島ジャナンダ
港で少女に案内された船に乗ると、何とその船は世界各地から凶悪殺人犯を集めた監獄島ジャナンタに向かう船だった!
訳も分からないまま囚人として島に連れて来られ、フシはピオランとも離れ離れになってしまう。
フシとピオランを手違いで連れて来たと嘯く少女は「一度ここに囚人として入ったら、二度と外には出て行けないんだよ」と言う。
ここから出る方法は一つ。
「君がこの闘技場で優勝することさ!」
囚人同士が望みを叶えるために殺し合う戦いに巻き込まれて行くフシ。
果たして、フシはピオランを救出して、ジャナンダ島を脱出できるのだろうか。
13話の感想
私は最近ピオランがヒロインじゃないかと思い始めていますw
グーグーを失い傷ついたフシを温かく見守るピオラン。
かと思えば杖でフシをボコボコにしたり、御飯にがめつかったりと、ピオランは見ていて飽きませんね。
不死身のフシを杖でボコボコにするとか出来るのピオランだけだと思う・・😅
グーグーの時もそうでしたが、フシは家族に近い人間になると不満気な顔をしたりしますよね。
それだけ気を許している証拠なんでしょう。
ピオランの生命力溢れる生き様に、何だか救われたような気持ちになった回でした!
そして新たな地ジャナンダ島でフシの戦いが始まります。
フシ達をこの島に連れて来た少女トナリの目的も気になりますね。
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