不滅のあなたへ 20話「残響」

不滅のあなたへ

「ありがとう。ピオラン。俺も幸せだったよ」ピオランとの最後の旅の果てに得た尊いもの。

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あらすじ

19話のあらすじを読む。

フシ(最初は毎日イヤで、早く島を離れたくて仕方なかったけど、今は・・少し寂しい)

多くの犠牲を出しながらも、ジャナンダ島におけるノッカーとの戦いは終結した。
再会を願うトナリとサンデルに別れを告げ、ピオランの待つゼダンの港へと降り立つ。

オオカミ姿のフシは匂いをたどり、ついにピオランを見つける。

フシ(ピオラン・・ズイブン待たせてしまった)

しかし自分の存在はノッカーを引き寄せる。
自分と一緒にいれば、またピオランを危険な目に遭わせてしまうかもしれないと考え、再会をためらう。

フシ(オレはダレもシアワセにデキナイ)

ピオランの身を案じながらも、フシはピオランに会うことなくその場を去るのだった・・。


この話が収録されている6巻を買う。

フシッ!

フシ(明日になったら、船でここを出て行こう)

フシはピオランを守るため、自分の意思でピオランから離れようとした。
しかしさまざまな心配事が浮かぶ。

「そういえば、ピオランはカネをどれくらい持っているんだ?」
「手紙を書こう。もう待たなくていいって」
「コートが欲しいって言ってなかったっけ」

ピオランは食堂の店主の好意で飢えを凌ぎ、危険が迫っても1人で何とかしてしまう。
実にたくましい老婆である。

フシ(別にオレがいなくても、ピオランなら1人でやっていけそうだ)

ピオランの1人旅を陰で見守りながら、フシは別に自分が心配することはないと考える。

フシ(でも・・ずっと笑ってない)

ピオランの笑顔がない事だけが気がかりだった。

ピオランの周囲を右往左往するフシに、観察者が現れて言う。

観察者「お前といれば、ノッカーに殺される可能性が出てくるが、お前といなくてもいずれあの老婆は死ぬ。もう決して長くはないだろう」
フシ「やめろ!ピオランは死んだりしない!」
観察者「人は必ず死ぬ」

観察者は、人は成長しいずれ老いて死ぬことをフシに説明する。

観察者「お前はこの先あの老婆がどう死ぬかが気がかりなのか?ならば考えるだけムダだ。その時になるまで分からない。どういった死を迎えるのが望ましかったのか、自分で選ばないかぎりはな」

人は必ず死ぬ。
ピオランももうすぐ死ぬ。
自分は寂しい・・。
しかし自分と関わった人間は不幸になって死んでしまう。
ジャナンダ島で死んだウーロイ・ウーパ・ミァに変身しながら、今まで死んでいった人たちのことを思う。

自分に長いこと良くしてくれたピオランが不幸になるのだけは嫌だった。

フシ(大丈夫・・もう大丈夫だ。これで最後だ)

寂しい気持ちを振り切り、フシはピオランの為にコートを出してやると、たき火の傍で眠るピオランにそっとコートを置いてやる。
その場を去ろうとしたフシの後ろから、ピオランの声がした。

ピオラン「・・誰じゃ?待て!そこにおるヤツ!」

汗だくで追いかけて来たピオランがフシの腕を掴む。
今フシはミァの姿をしている。
自分だと分かるはずがない。

ピオラン「フシッ!」

ピオランは満面の笑顔で、迷わずフシの名を呼んだ。
久しぶりに見たピオランの笑顔だった。
「フシじゃないよ!」と誤魔化そうとするフシを、ピオランは抱きしめる。
久しぶりのピオランの温もり。

フシ「あっ・・」

今までごまかそうとしてきたものがこみ上げてくる。
島で離れ離れになってから、ずっとピオランに会いたかった。

(ピオランと一緒にいたい)

そしてフシはピオランと一緒に生きると決めたのだった。

サールナイン密林での日々

ピオラン「ここがサールナイン密林じゃ!」
フシ「ハハハ・・本当に誰もいないね」

二人はゼダンの港から船に乗り、サールナイン密林にやって来ていた。
この島は動物だけのパラダイスで、人は寄りつかない。
ここなら思う存分力を獲得できるし、ノッカーが襲撃してきても誰かが犠牲になることがない。

そして1か月の月日が流れた。
ピオランは川魚を獲るのが得意で、よく食卓には魚が並ぶ。

フシはピオランと安全に過ごすために、いくつかルールを設けた。

  • ノッカーが来たらなりふり構わず逃げること
  • 得体の知れない動物への変化は控えること
  • ピオランより遅く寝て、ピオランより早く起きること

フシ(大事な事は全部忘れないように書いておこう)

メモした紙を、フシはたき火にくべる。

ピオラン「せっかく書いたのに燃やすんか?」
フシ「大丈夫。いつでも取り出せるから」
ピオラン「ほうか」

一度刺激を受けた物なら、フシは何度でも生み出せる。
欲しいと思った時にまた出せばいいだけの話なのだ。

満足な人生じゃったよ

フシ「ピオランはやりたいこととか食べたいものとか、何か望みはある?」

二人で芋の皮を剥きながら、フシはピオランに尋ねる。
ピオランはしいて言えば若返りたいと言う。
よく動けるし、硬いものも食べられるし、男にもモテるのだと。

ピオラン「昔はわしもリーンみたいに美しかったんじゃ」
フシ「ハハ・・叶えるのは難しいな」

ピオラン「わしはな。やりたいことはもう全部やり尽くした。昔は馬車馬のように働くだけの人生じゃったけど、孫にも恵まれたし、こうして自由も手に入れた。満足な人生じゃったよ

ピオランの自分を見る温かい眼差しと満足げな顔に、フシは尊い何かを見た。

フシ(満足・・。オレもいつかそう思えるようになるのかな)

仲睦まじい二人旅はいつまでも続くように思われた。

最後のあがき

ピオランはある日を境に徐々に変わっていった。

何度もロバから落ちるようになる。
汚い言葉でフシを罵る。

ピオラン「腰が痛いんじゃと言っとろーが!ボケッ!カスッ!」
フシ「ああ~!?💢」

食事をしたことを忘れ、夜は徘徊する。
ピオランは認知症を患っていた。

何故こんな風になってしまったのか、フシには分からない。
観察者がそういうものだと説明してもフシには納得できない。

ピオラン「ワシは死んで当然の人間なんじゃ!殺せ、殺せ!」

背中で暴れるピオランをおぶって歩きながら、フシは頻繁に笑顔を見せるようになった。
尽きゆく者に対する最大限のあがきだったのかもしれない。

フシは黙々とピオランの世話をする。
ピオランという人物が少しずつ失われていき、フシも少しずつ変化していった。

あんたに会えて幸せじゃったよ

ピオラン「フシ。わしはあんたに会えて幸せじゃったよ」
フシ「え?」

ある日、以前のピオランのような言葉をぽつりと呟く。
フシが振り返ると、ピオランの穏やかな笑顔があった。

もうすぐ雨が降りそうだから、干した芋と魚を取り込んで欲しいとピオランは言う。

フシ「すぐ戻るよ。冷えるから布団に入ってて」

フシが去ると、ピオランは布団に横になり観察者を呼び出す。

ピオラン「今のうちにわしを連れていけ。そして、できるなら今度はもっとフシの役に立つものへと生まれ変わらせてくれ。あいつを大切に思うならば、わしの言う通りにしろ」
観察者「お前の魂はお前の肉体があって初めて個たりうる。肉体が変われば、お前をお前たらしめるものも変わってゆく。それでもよいか?」
ピオラン「ああ・・」

普通の人間には見えないはずの観察者の声が、今のピオランには届いたのだろうか。
ピオランの提案を観察者が受け入れる。
観察者はピオランの眼前に手をかざした。

観察者「目を閉じ、なりたいものを想像しなさい。楽園に捕らわれる前に、私が迎えに行く」

その言葉を最後にピオランの意識が遠のいていった。

次に目を覚ました時、ピオランは若く美しい体を取り戻していた。
自分の肌を触ったり身体を眺めながら、浜辺を軽やかに歩く。

後ろを振り返ると、観察者が球を持って立っていた。
ピオランが球に触れると、若かったピオランの体はみるみる老い、最後には球に吸い込まれるように消えて行った・・。

フシが戻った時、既にピオランは息を引き取っていた。
ピオランの顔は安らかで眠っているかのようだった。
しかしフシには、もう彼女が「空っぽ」であることが分かる。

フシ「あっ・・あぁ・・」

降り始めた豪雨に、フシの絶叫がかき消される。
フシは涙が枯れるまでうずくまって泣いていた。

雨上がり

フシ俺はこれからどうしたらいいんだろう・・)

ピオランを埋葬し、フシはこれからのことを考えていた。
何をしたらいいのかさっぱり分からない。

フシ(そうだ。今日のこと、ピオランのこと、忘れないようにしないと)

フシは紙とペンを生み出す。

フシ「あっ・・!」

紙の裏に何か書いてある。
自分の字ではない、ピオランの字だった。

お前の夢は何だ?フシ。
わしみたいにやりたいことをやれ!

(大丈夫。いつでも取り出せるから)

フシがいつかこの手紙に気づくと思って、ピオランがこっそり書いたのだろうか?
最期までフシを気遣うピオランの優しさに触れて、枯れたはずの涙が溢れてくる。

フシ「ありがとう。ピオラン。オレも幸せだったよ」

20話の感想

ゆんこ
ゆんこ

ピオラン😭
本当にありがとう。

今までフシの大切な人達は、夢を叶えることなく一生を終えました。
そんな中、ピオランが天寿を全うし、満足して死んでいったというのは、本当にフシにとって救われることだったのではないでしょうか?

「おれは誰も幸せにできない」と思っていたフシに、「あんたに出会えて幸せじゃったよ」とピオランは言ってくれました。
フシはピオランからとても大切で温かいものを貰ったと思います。
悲しいだけの別れじゃない。
やりたいことをやり尽くして大切な誰かに命を繋いでいく、そんな人生もあるのだとピオランが教えてくれたような、そんな気がします。

自分が死んだ後、何をしたらいいか分からなくなるフシを気遣い、ピオランは手紙をこっそり残していました。
「やりたいことをやれ!」と、生前のピオランを思わせる力強い言葉を貰って、フシはまた旅立っていきます。

これからフシがどう道を歩んで行くのか、楽しみですね。
というのも・・。

「不滅のあなたへ」第2シリーズ制作決定しました~!
めでとうございます🎊

第2シリーズは単行本12巻までのお話かな?
「前世編」の最後までやってくれそうなので、嬉しいです😊

また続報が出た際には、記事にしようと思います。
それでは、また第2シリーズでお会いしましょう~!

ピオランからの手紙を自分で解読したい方は、こちらの記事をご覧ください。

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