仏門に入った祇王家族とそれを追って出家した仏御前を描く。
アニメ「平家物語」の2話「娑婆の栄華は夢のゆめ」の考察ページです。
以下の用語について解説しています。
歴史的な背景を知ることで、よりアニメ「平家物語」を深く知ることができますよ😊
平家を取り巻く人々が複雑化してきたため、人物相関図を作りました。
人物がたくさん出てきて混乱した…という方は参考にしてみてくださいね😍
前回の考察はこちら👇
梁塵秘抄
美女うち見れば 一本葛にもなりなばやとぞ思ふ 本より末まで縒らればや 切るとも刻むとも 離れがたきわが宿世
美しい女性を見ると、一本のツタカズラにもなりたいと思う。根本から先まで縒り合わされて一つになりたいものよ。
たとえ切られようと刻まれようとも、離れがたいのは前世からの我が宿命だ。
後白河法皇の今様好きは有名で、『梁塵秘抄』という今様を書き留めた本を自ら編集してしまうほどでした。
*今様とは当時「現代流行歌」という意味。
歌詞は「7、5、7、5、7、5、7、5」で構成されている。
後白河法皇は、一晩中今様を歌っていたことを、息子の憲仁(高倉天皇)に呆れられています。
それもそのはず、これは熱烈な恋の歌で、齢50を超えた父が恋の歌を熱唱していたわけですから、さすがの高倉天皇もドン引きしていたのでしょう。
舞え舞え蝸牛、舞はぬものならば、馬の子や牛の子に蹴させてん、踏破せてん、真に美しく舞うたらば、華の園まで遊ばせん。
踊れ、踊れカタツムリよ。踊らないならば、馬の子や牛の子に蹴らせてしまおう。踏ませて割ってしまおう。
本当にかわいく踊ったならば、花園まで連れて行って遊ばせてやろう。
こちらも「梁塵秘抄」にある歌の一つ。
後白河法皇たちは平清盛をカタツムリに喩え、自分の思い通りにならないならば蹴ってしまえと笑っていたのです。
平治の乱
「年号は平治なり、花洛は平安城なり、我らは平氏なれば、三事相応せり。敵をたいらげん事、何の疑ひかあるべき」
『平治物語』待賢門の軍附たり信頼落つる事 より引用。
平治の乱(1159年)は、藤原信頼や源義朝によるクーデターです。
この事件は清盛が京を留守にしている時に起き、後白河法皇も一時は幽閉されてしまいます。
重盛の台詞は、平安京の待賢門付近で行なわれた合戦の際に、味方を鼓舞するために言ったものです。
重盛はこの後源義平と戦い敗走しますが、京都に戻った清盛によって形勢は逆転。
この戦いで藤原信頼や源義朝は敗れ、平家は全盛期を迎えます。
天下三不如意
「賀茂河の水、双六の賽、山法師、是ぞわが心にかなわぬもの」と、白河院も仰せなりけるとかや。
『平家物語』願立の段より引用。
「氾濫を繰り返す賀茂川がもたらす水害」「すごろくの目」「強訴を繰り返す延暦寺の僧兵」
43年ものあいだ院政を敷き、権威をふるっていた白河法皇が「自分の思い通りにならないもの」として挙げたものです。
「天下三不如意」と言われています。
逆に言えばこの3つ以外は何とかなるという意味なので、当時白河法皇の力がいかに強かったかが分かります。
延暦寺の話が出てきた時に後白河法皇が言っていたのは、「嘉応の強訴」のことで、延暦寺の僧兵が藤原成親の流罪を求めて強訴してきた事件のことです。
後白河法皇はこの機会に延暦寺の勢力を削ごうと重盛たちに討伐命令を下しますが、重盛は戦支度はしつつも「明朝発向する」と返すに留まりました。
これは清盛が出家する際に延暦寺の明雲に世話になった背景があると思われます。
祇王と仏御前
仏御前は祇王のとりなしがきっかけで清盛の寵愛を受けた白拍子でした。
祇王は仏御前が来るまでは清盛の寵愛を受けていましたが、清盛が仏御前をひいきにし始めると祇王を屋敷から追い出してしまいます。
かと思えば、仏御前が寂しがるからと言って、再び祇王を屋敷に呼ぶようになりました。
アニメでは描かれませんでしたが、祇王はこの時自害しようとするほど追い詰められていました。
しかし母(刀自)と妹(祇女)の説得で思いとどまり、母と妹と共に出家します。
親子三人で念仏を唱えて生活をしていたある日、何と仏御前が訪ねてきます。
娑婆の栄華は夢のゆめ。楽しみ栄えて何かせん。かように様をかえて参りたれば、日比の科をばゆるしたまへ。「ゆるしましょう」と仰せられば、諸共に念仏して一つ蓮の身とならん。
現世での栄華は夢の中で夢を見るように儚く、どんなに栄えても何にもなりません。このように姿を変えて参りましたので、これまでの罪をお許しください。「許そう」とおっしゃるならば、共に念仏し、同じ蓮華の上に生まれましょう。
アニメ「平家物語」2話「娑婆の栄華は夢のゆめ」より引用。
仏御前は自分をとりなしてくれた祇王たちが追い出されて、自分が屋敷に残ることになったことを悲しく思っていました。
自分もいずれ清盛に飽きられ、祇王に起こったことが自分の身にも降りかかると分かっていたからです。
清盛に暇を申し出ましたが聞き入れてもらえなかったので、屋敷をこっそり抜け出し祇王たちを追って出家します。
祇王たちは仏御前を受け入れ、その後往生したことが伝えられています。
2話の感想
重盛「闇も先も恐ろしくとも、今この時は美しいの」
2話では、清盛に翻弄される人々が描かれました。
主には白拍子の祇王たちでしたが、徳子や重盛も清盛に振り回されている印象でしたね。
祇王との交流で「先」が少しだけ楽しみになったびわでしたが、変わらず徳子には急流に身を投げる不穏な未来がつきまとっています。
次回は嘉応の強訴でチラッと出てきた藤原成親が事件を起こすかもしれません。
びわの母親が白拍子であることが明らかになり、「ずっと先」が少し楽しみになりました。
いつかびわがお母さんと再会できる日が来るといいですね🥰
次回の考察はこちら👇
人物相関図
「人の名前が覚えきれない!」
「顔と名前が一致しない!」
という方の為に、人物相関図を作りました😊
悠木碧・櫻井孝宏・早見沙織インタビューが公開
「平家物語」は人間讃歌です。
びわ役・重盛役・徳子役を務める声優さんたちが、アフレコエピソードや役作りなどを語る動画です。
見応え十分なので是非観てみてください!
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