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【考察】平家物語 #9 清経入水。びわは丹後で浅葱の方と再会する

平家物語

失い続けるびわは、母の言葉で己のできることを見出す。

アニメ「平家物語」の第9話「平家流るる」の考察ページです。

母の足跡をたどり、越後から京へと戻ってきたびわ。

京の町で無体を働く義仲軍の兵士に一人立ち向かい、あやうく斬り殺されるところを白拍子の静・月・あかりに助けられる。

静はびわと同じ色の目をした白拍子を丹後で見たという。

静たちと共に丹後に向かったびわは、清経が入水する未来を見てしまい涙する。

「平家の行く末を見届けようと思う。見届けて、祈りをこめて琵琶を弾く」

未来さきが見えても何もできないと嘆いていたびわは、母の言葉でようやく自分にもできることが見つかるのでした。

ゆんこ
ゆんこ

圧巻の第9話でした!!
長くなるので、最後の感想でまた語らせてください🤣

この記事で分かること
  • 清経入水
  • 木曾最期
  • 鵯越の逆落し
  • 敦盛最期

それでは、9話を振り返ってまいりましょう!

前回の考察はこちら。

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清経入水

小松殿の三男、左中将清経は、元より何事も思ひいれたる人なれば、「都をば源氏がためにせめおとされ、鎮西ちんぜいをば惟義これよしがために追ひ出さる。網にかかれる魚のごとし。いづくへ行かば逃るべきかは。長らへ果つべき身にもあらず」とて、月の夜心をすまし、舟の屋形にたちいでて、横笛ようじょう音取り朗詠ろうえいしてあそばれけるが、しずかに経読み念仏して、海にぞ沈み給ひける。

『平家物語 巻第八』大宰府落ち

京から福原、大宰府まで落ちたかと思えば、父・重盛の家臣であった緒方惟義でさえも源氏側に寝返り、終わりのない逃亡の旅が続く中で清経は思いつめてしまったのでしょう。

清経「我らはもう・・網にかかった魚も同然」

入水する瞬間、清経の目に映ったのが魚ではなく、自由に空を舞う鳥だったのが救いでしょうか。

『平家物語 灌頂巻かんじょうのまき』の六道之沙汰の段では、壇ノ浦の戦いの後、徳子が後白河法皇と対面し、平家の栄華と滅亡に至るまでのことを振り返っています。

心うき事のはじめにてさぶらひし。

『平家物語 灌頂巻』六道之沙汰

清経の死が平家一門の心憂きことの始まりであり、ここからさらに多くの一門が戦いの中で討ち取られていきます。

木曾最期

一方、源氏の方も一枚岩だったわけではありません。

京に入った木曾義仲は後白河法皇から「朝日将軍」の称号を貰って、やりたい放題。

後白河法皇が後鳥羽天皇を擁立しようとした際にも、北陸宮ほくろくのみや(以仁王の第一王子)を即位させるように口出しし、法皇や公卿からは疎まれてしまいます。

京の治安も悪化し、後白河法皇から平家を討つように言われた義仲は、失った信頼を取り戻すため、戦果を挙げる必要がありました。

しかし水島の戦いでは知盛たちが奮戦し、義仲は敗れてしまいます。

その後、後白河法皇と対立し、義仲は後白河法皇を幽閉。

*アニメでは征夷大将軍になっていましたが、現在は征東大将軍が有力とされています。

頼朝「うーん・・義仲、討った方がいい?」
政子「もちろんにございます!」

義仲は宇治川で頼朝が遣わした範頼のりより義経よしつね軍に敗れ、義仲が自害の場所を求めて粟津あわづの松原に踏み込んだところ、馬の脚が深田に取られて動けなくなり、そこを顔面に矢を射られて討ち死にします。

平家が都落ちしたのが1183年7月、義仲が討たれたのが1184年1月、源氏同士が争っている間に、平家は瀬戸内海を制圧し、数万騎の兵力を持つまでに回復していました。

鵯越の逆落し

しかし、そんな平家の前に立ちはだかったのが、皆さんもご存じの源義経です。

義経「ここを下り、奇襲をかける」

一ノ谷の裏手の断崖絶壁の上に立った義経は、精兵70騎を率いて坂を駆け下る決断をします。

まさか背後から敵が来ると思っていなかった平家陣営は大混乱に陥ります。

この戦いで、平家一門は多くの武将を失い屋島へと敗走、重衡も生け捕りにされてしまいます。

敦盛最期

「小次郎が薄手負ひたるをだに、直実は心ぐるしうこそ思ふに、此殿の父、討たれぬと聞いて、いかばかりかなげき給はんずらん、あはれ、助け奉らばや」

『平家物語 巻第九』敦盛最期

直実なおざねが敦盛の首を斬ろうとして兜を押し上げ顔を見ると、何と自分の子供と同じくらいの少年でした。

「子供が軽く傷を負ったのでさえ自分は苦しく思うのに、この人の父が討たれたと聞いたら、どれほど嘆くだろうか」

そう思った直実は敦盛を助けようとします。

しかし直実の背後には味方の源氏の軍が迫っており、自分が見逃しても敦盛が逃げ延びることができないことを悟ります。

敦盛「さっさと首を取れ!・・私の首を取れば、そなたの名も上がろう」

「あはれ、弓矢とる身ほど口惜しかりけるものはなし。武芸の家に生れずは、何とてかかるうき目をば見るべき。なさけなうもうち奉るものかな」

『平家物語 巻第九』敦盛最期

泣く泣く敦盛の首を斬った直実は、「弓矢を取る身ほど口惜しいものはない。武家に生まれなければ、このような悲しい目に遭うことはなかった」と、戦の無常さを語ります。

直実はこの後出家し、蓮生れんせいと名乗ります。

びわの歌についてはこちらの記事をご覧ください。

9話の感想

8話で登場した義仲があっさりナレ死しましたが、9話は平家物語屈指の名シーンばかりで、あれも書きたいこれも書きたいと、膨大な資料を楽しく読んでいたら収拾がつかなくなりました😅

『建礼門院右京大夫集』も少し読んだのですが、これも面白いですね!

実はびわが西国に向かおうとする時に伊子がいたんですよ。

ちょうどこの時期伊子は資盛に手紙を出しており、びわが平家一門に戻る際に資盛に届ける展開もあるのかな?と思ってしまいました。

資盛と伊子の悲恋も読みごたえがあるので、いつかご紹介できればと思います。

敦盛「我ら出る時が来ましたら雄々しく潔く戦いましょうぞ

平家の行く末を嘆き身を投げた清経との約束を思い出したのでしょうか?

直実の「敵に背中をお見せなさるのか」という言葉に立ち止まり、勇敢に戦う敦盛がもの悲しかったです😭

清経と敦盛は正反対の結末でしたが、二羽の鳥が寄り添うように飛ぶ姿と重なる笛の音が、まるで二人が浄土で仲良く笛を吹いているような、そんな気持ちにさせられました。

そしてついに、自分ができることを見つけたびわ!

母から「祈り」を伝えられ、滅びゆく平家の為に祈り、彼らの行く末を見届け琵琶で語り継ぐことを決意します。

アニメ「平家物語」のPV第2弾では、「800年を超える祈りの物語」とあり、びわの祈りが現代の私たちに届いていることに感動する瞬間でした!

次回びわは平家一門の元に戻り、何を見届けるのでしょうか?

残り2話というのが寂しいですが、次回も楽しみです😊

3月16日23時36分に起きた地震により、10話が放送されなかったため、放送され次第更新します。

強い揺れを感じた地域の皆様におかれましては、不安な夜を過ごされたかと思います。

こうしたことが起こるたびに、普段どおりに過ごせることのありがたみを感じてしまいますね。

それでは、10話の考察でまたお会いできる日をお待ちしております😊

10話の考察アップしました!

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