【考察】平家物語 #1 平家にあらざれば人にあらず

平家物語

『平家物語』の原文を引用し、分かりやすく解説!

アニメ「平家物語」の1話「平家にあらざれば人にあらず」の考察ページです。

実際の『平家物語』の原文を引用しながら、『平家物語』の内容をよく知らない人でも分かるように解説していきたいと思います。

第1話である今回は、祇園精舎ぎおんしょうじゃ」「禿髪かぶろ」「人にあらず」「一門の栄華」「殿下乗合事件てんがののりあいじけんについて考察します。

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祇園精舎

祇園精舎ぎおんしょうじゃの鐘の声、諸行無常しょぎょうむじょうの響きあり。沙羅双樹しゃらそうじゅの花の色、盛者必衰じょうしゃひっすいことわりあらわす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひには滅びぬ、ひとへに風の前のちりに同じ。

(現代語訳)祇園精舎の鐘の音は、万物は常に絶えず変化していくものであるという響きがある。沙羅双樹の花の色は、盛んな者も必ず衰えるという道理を表している。どんなに権勢を振るっている者も長く続くことはなく、春の夜の夢のように儚い。勇ましい者も最後には滅びてしまう、まるで風の前の塵のようである。

『平家物語 巻第一 』 祇園精舎の段より引用。

平家物語冒頭の文です。
有名なので、学校の授業で暗唱したことがある方も多いかもしれません。
冒頭部分は読み方が難しいものが多いので、原文にふりがなをつけました。

ここでは祇園精舎の鐘の音や沙羅双樹の花の色を引き合いに出して、万物は刻々と変化していくものであること(諸行無常)、盛んな者は必ず滅びること(盛者必衰)を詠っています。

インドの祇樹給孤独園精舎ぎじゅぎっこどくおんしょうじゃには無常堂があり、四隅の軒に置いてある鐘の音は、修行僧が命を終える時に鳴らして、修行僧を極楽浄土に導いたとされます。

沙羅の木には、お釈迦様が入滅した時四方の沙羅双樹が一気に枯れて白くなったという伝説があります。

平家物語公式Twitterでも沙羅双樹について触れています。

平家の家紋である揚羽蝶が舞い、沙羅双樹の花が一斉に落ちる様は、平家の繁栄と滅亡を表現したのかもしれませんね。

禿髪

十四五六の童部わらんべを三百人揃へて、髪をかぶろに切りまはし、赤き直垂ひたたれを着せて召し使はれけるが、京中に満ち満ちて往反おうばんしけり。おのづから平家の御事おんことをあしざまに申す者あれば、一人いちにん聞きいださぬほどこそありけれ、余党にふれめぐらして、かの家に乱入し、資材雑具しざいぞうぐ追捕ついぶくし、その奴をからめ取つて、六波羅殿ろくはらどのて参る。

『平家物語 巻第一』 禿髪の段より引用。

平家を悪く言う者を聞きつけると、禿かぶろと呼ばれる童の集団がやってきて、その者の家財道具を取り上げて六波羅へ引っ立てました。

そのため、人々が平家の横暴に対して心に思うことはあっても口にすることはなく、六波羅の禿と言えば馬や車も避けて通るほどだったそうです。

主人公であるびわは、琵琶法師の父と共にかぶろの悪行を目撃します。
止めに入ろうとしたびわを父が制します。

びわの父「余計なことをするな」
びわ「でも・・でも、おとう。あんなひどい・・」

禿「ん?何と言った」

禿がびわの言葉を聞き咎め、びわの父は平家の武士に斬り殺されてしまいます。

びわの右目に見えたのは、平家が滅ぶ未来でした。

びわ役・悠木碧さんと平重盛役・櫻井孝宏 さんのインタビューが掲載されています。
平家の家系図も一部掲載されておりおすすめです!

人にあらず

また入道相国にゅうどうしょうこく小姑こじゅうと平大納言時忠卿へいだいなごんときただのきょうのたまひけるは、「この一門にあらざらん者は、皆人非人にんぴにんなるべし」とぞ宣ひける。

『平家物語 巻第一 』 禿髪の段より引用。

「平家にあらざれば人にあらず」

平清盛の妻、時子の弟・時忠が言った有名な言葉です。

「人間ではない」というよりは、「物の数にも入らない」、「出世できない」という意味かと思いますが、それにしても驕った言葉です。

ちなみに宴の席で高く盛り付けられていたご飯は強飯と言って、白米を炊いて乾燥させたものです。
当時は高級品で庶民には手が届きませんでした。

庶民は雑穀をお粥にして食べていたそうです。

一門の栄華

我が身の栄華を極むるのみならず、一門ともに繁昌はんじょうして、嫡子重盛しげもり内大臣ないだいじん左大将さだいしょう、次男宗盛むねもり、中納言の右大将うだいしょう、三男知盛とももり三位さんみの中将、嫡孫維盛これもり四位少将しいのしょうしょう、すべて一門の公卿くぎょう十六人、殿上人てんじょうびと三十四人、諸国の受領ずりょう衛府えふ諸司しょし、都合六十余人なり。世にはまた人なくぞ見えられける。

『平家物語 巻第一 』 我身の栄華の段より引用。

平清盛は武士でありながら最高官である太政大臣になりました。
太政大臣は適任者がいなければ必要ではない則闕そっけつの官」と言われていて、清盛は太政大臣をたった3か月で辞めてしまいます。

しかしその間に平家の者が高官になれるように後押しし、清盛だけでなく一門そのものが栄華を誇ることになったのです。

殿下乗合事件

猪熊堀河いのくまほりかわの辺に、六波羅ろくはらつわものども、混甲ひたかぶと三百余騎、待ちうけまつり、殿下てんがを中に取り籠め参らせて、前後より一度に、ときをどつとぞ作りける。前駈御随身せんぐみずいじんどもが、今日を晴れと装束いたるを、あそこに追つかけ、ここに追つつめ、馬より取つて落とし、散々に陵礫りょうりゃくして、一々にもとどりを切る。

平家物語 巻第一 』 殿下乗合の段より引用。

殿下乗合事件てんがののりあいじけんは、摂政松殿基房まつどのもとふさと平清盛の嫡孫平資盛たいらのすけもりの間に起きた衝突と、その後起こった報復事件のことです。

当時髻は成人の証であり烏帽子えぼしを頭に留めておくのに必要なものだったため、これを切られるということはまっとうな成人男子とは見なされない恥辱を受けたことになります。

『平家物語』では、報復を行った首謀者は平清盛だと設定されていますが、実際には重盛が報復したとされています。

このことは『愚管抄』の中で「小松内府(重盛)は不可思議の事を一つしたり」と書かれています。

1話の感想

古典文学である『平家物語』と、《未来が見えるびわ》《亡者が見える重盛》というフィクションの融合が何をもたらすのかワクワクする1話でしたね。

『平家物語』はもともと琵琶法師と呼ばれる盲目の僧侶たちによって、口頭伝承されてきた語り物で、作者は不詳です。

びわが平家を語り継ぐ琵琶法師となるまでを描くのでしょうか?

重盛に亡者が見えることも、今後ストーリーにどう絡んでいくのか気になります。

びわに未来が見えるのと同じく、平家が壇ノ浦の戦いで滅ぶことは私たちは知っていて、しかし今を生きる彼らが滅びへの足跡をどう辿っていくのか、次回も楽しみです。

当サイトでは『平家物語』の原文を引用しつつ、歴史的な背景を解説しながら考察していきますが、美しい映像や琵琶法師の語りによる音楽が素晴らしいので、何も知らなくても十分面白いです!

それでは全11話を共に楽しんでまいりましょう😊

2話の考察はこちら。

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