資盛は優しさでびわを追い出し、徳子は無欲で世界を愛す。
アニメ「平家物語」の第7話「清盛、死す」の考察ページです。
7話では、各地で反乱が起こり、平家が追いつめられていく様子が描かれました。
一門の栄華を築いてきた清盛が病に倒れ、一門の行く末はさらに混迷を極めていきます。
「南都焼き討ち」
「四面楚歌の平家」
「清盛無間地獄に落ちる」
「資盛の優しさ・徳子の強さ」
今回はこれらをテーマに、7話を考察していきます!
前回の考察はこちら。
南都焼討
各地で起こる反乱に対処するため、清盛は半年足らずで福原から平安京へと都を戻しました。
平安京に戻ってきた平家に対し、園城寺の次は自分たちの番だと思った興福寺は、やられる前にと蜂起します。
*以仁王の挙兵の時、園城寺と興福寺は以仁王に助力しています。
報復として園城寺は攻め入られ、焼き討ちにあっています。
南都にはまた大きなる鞠丁の玉を作つて、これこそ平大相国の首と名付けて、「打て、踏め」なんどぞ申しける。
『平家物語 巻第五』奈良炎上
興福寺の僧たちは木製の毬を清盛の頭に見立てて打ち込んだりしていたそうです(毬杖)。
清盛はできるだけ穏便に事態の収拾をはかるため、瀬尾太郎兼康に軽武装の兵500余騎をつけて南都に派遣します。
しかし興福寺僧徒は、兼康の軍勢60人を捕まえて首をはね、猿沢池のほとりにさらし首にしてしまいました。
これには清盛は激怒し、今度は討伐のために重衡を南都に向かわせます。
平家と僧兵の戦いは早朝から夜まで続き、重衡は火をともすよう命じます。
すると激しい風に煽られ、興福寺など多くの寺院や、奈良の大仏までもが燃えてしまいました。
寺に逃げ込んでいた一般人もかなり犠牲になったようです。
園城寺に続いて大惨事🔥
もう重衡は火を使わない方がいいよ!!😱
四面楚歌の平家
以仁王の挙兵は計画が漏れて失敗に終わりましたが、平家打倒の機運が高まっていました。
信濃では源頼朝の従弟である木曽義仲が、他にも甲斐源氏である武田信義など、多くの源氏が以仁王の令旨に呼応して兵を挙げます。
敦盛「河内でも九州でも熊野でも源氏につく者が出てきたとか」
これ以外にも四国で河野通信が源氏につくなど、平家の周囲は敵だらけになってしまいました。
そしてこれまで一門を率いてきた清盛が病に倒れます。
無間地獄に落ちる
清盛の妻・時子は夢の中で、「無」という文字が書かれた激しく燃えさかる車を、牛の顔をした者や馬の顔をした者たちが担いでいるのを見ます。
南閻浮堤金銅十六丈の廬舎那仏焼きほろぼし給へる罪によって、無間の底に堕ち給ふべきよし、閻魔の庁に御さだめ候が、無間の無をば書かれて、間の字をばいまだ書かれぬなり。
『平家物語 巻第六』入道死去
彼らは閻魔の使いで、清盛を迎えに来たそうです。
「寺を焼き、大仏を焼いた罪で、八大地獄の中でも最も過酷な無間地獄の底に落ちるでしょう」
八大地獄とは、等活地獄・黒縄地獄・衆合地獄・叫喚地獄・大叫喚地獄・焦熱地獄・大焦熱地獄・無間地獄のこと。
無間地獄は最下層にある地獄で、これまでの7つの地獄が生温く感じるほどの責め苦を絶え間なく受け続ける。
車に「無」とだけ書かれていたのは、「間」の字を書いたとき清盛が死ぬという意味で、それだけ清盛の死が差し迫っていることです。
夢から覚めた時子は、寺社に金銀七宝を納めて祈りますが、効果はありませんでした。
今生の望一事ものこる処なし。ただし思ひおく事とては、伊豆国の流人、前兵衛佐頼朝が頸を見ざりつるこそやすからね。われいかにもなりなん後は、堂搭をもたて孝養をもすべからず。やがて打手をつかはし、頼朝が首をはねて、わが墓のまへにかくべし。それぞ孝養にてあらんずる。
『平家物語 巻第六』入道死去
清盛の遺言は「頼朝の首を墓前にかけよ」というものでした。
しかし、最期にぽつりと「徳子はまだヘソを曲げておるのかの」と言ったのが印象的でした・・。
一門ばかりを取り立て、栄華を極めた清盛。
しかし一方では、日宋貿易に力を入れたり、人柱の風習を一蹴したり、型破りな方法でもって、貴族社会からの転換を目指すという志を持った人であり、子を想う親であったと感じた最期でした。
資盛の優しさと徳子の強さ
びわ、出て行け。
ずっと俺はお前のその目の色が気味悪かったんだよ。
お前が弾く琵琶の音も嫌いだった。
父上が亡くなられた時に追い出しとけばよかったんだ。
ここにはもうとっくにお前の居場所はないんだからな。
いいか。春になる前には出て行けよ。
滅びゆく平家にびわを巻き込むまいと、わざと突き放した資盛の優しさを感じた言葉です。
だからこそ、びわも「分かっておる。資盛のことはようよう分かっておる」と、資盛の気持ちを汲み取って屋敷を去るのです。
意訳しすぎですかね?
びわと資盛が仲良く喧嘩するシーンは癒しでした・・😭
高倉上皇の危篤の際に、後白河法皇の後宮入りを打診されるもきっぱりと拒絶した徳子。
無理強いするなら出家するとまで言った徳子の意思の固さは、かつて清盛に己の首をかけて訴えた重盛の姿を彷彿とさせました。
清盛の野心の道具にされ、望まぬ婚姻であったにも関わらず、高倉上皇に心から仕えてきた徳子ですが、上皇崩御後はさらにしなやかに強くなったように思います。
女人五つの障りあり 無垢の浄土は疎けれど 蓮華し濁りに開くれば 龍女も仏になりにけり
(現代語訳)女人には五つの障りがあり、清らかな浄土には縁遠いけれど、蓮華が泥の中で美しい花を咲かせるように、龍女も仏となった。
五つの障りとは、梵天王・帝釈天・魔王・転輪聖王・仏になれないということ。
そのため女性が成仏することが非常に難しいとされ、一旦男性に転生することで初めて成仏できるという思想。
龍女は文殊菩薩の導きによって男となり成仏した女性。
ちなみに徳子の代わりに後宮入りしたのは、御子姫君(18)です。
後白河法皇は彼女に全く関心を示さないばかりか、御子姫君お付きの女房に手をつけたといいます。
御子姫君はすぐ亡くなったそうです。
7話の感想
ついにびわが長く過ごした屋敷を去ることになりました。
福原で拾った猫も一緒です。
ただの子供だった資盛も、不器用ながらびわの身を案じており成長を感じました!
そして徳子ですが、もはや達観しすぎて仏のようです。
徳子「私は泥の中でも咲く花になりとうございます」
これって蓮の花のことですよね。
正直重盛が亡くなった後は、重盛ロスになるのではと思っていました。
しかし今回の資盛や徳子に重盛の優しさや強さを感じ、びわのように重盛が見えていなくても、確かに重盛は彼らの中で生きているように思いました。
既にびわにとっても、平家は「おとうのかたき」ではなくなっていますよね。
これからびわがどういう旅をしていくのか、これから都落ちすることになる平家を陰ながら見守るのか、それとも源氏サイドの視点になるのか、楽しみです。
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平家物語の配信情報は2023年5月29日時点のものです。
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